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Orb Composer レビュー

前回の記事、「人工知能が音楽を奏でるとき」に少し触れました、AIによる作曲支援ツールOrb Composerについてレビューします。

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Orb Composer レビュー 

 

Orb Composer 概要

Hexachordsというメーカーが5年の歳月を費やして完成させた、「作曲家の代わりをするのではなく、あくまで作曲家のサポートをする」というコンセプトで作られたAIによる作曲支援ツールがOrb Composerです。

2種類のヴァージョン

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Orb ComposerにはArtistPro二つのヴァージョンが存在します。

ArtistヴァージョンはProから比べると「ん❓」と思うくらいシンプルな設定です。オーケストラパートがないの理解できますが、コード設定はメジャーとマイナーのみ、拍設定も4/4拍子のみでコードチェンジが1小節単位の大まかなことしかできません。この制約で音楽を創作するのは難しいです。ベーシックなアイデア作りしかできません。

オーケストラ(AI Style)の有無と表情付け(AI Curves)の差だけでいいのでは?と思います。

これだと、最初からProを買わざるを得ないような設定です。Artsitもソフトウェアの価格としては決して安くないので、このあたりはメーカーにも考えてもらいたいですね。

最初の設定

Orb Composerは最初の設定をユーザー側で完了しないと使用することが出来ません。

まずこのソフトウェアは単独で音を鳴らすことが出来ません。メーカー推奨のDAW と連携して使用することが前提です。また、DAWと連携する際には「専用テンプレート」を使用します。初期設定では、このテンプレートに各楽器パートを振り分けていきます。オーケストラパートだとアーティキュレーション別に細かく振り分けていきます。この作業が結構大変です。このあたりの手順はSreep Freaksさんが詳しく解説してくれていますのでご参照ください。

Sleep FreaksさんのOrb composer解説記事

 

ちなみにLogic Pro Xの場合、最新のアップグレードで専用音源がすでに設定された状態のテンプレートがついています。これだと最初から楽器が割り振られていますので、上記の設定をせずに超簡単に、Orb Composerを使用することが出来ます。最新ヴァージョンのLogic Pro X をお使いの方はお試しください。オーケストラもマスタートラックにリバーブを差し込むとイイ感じで再現できます。

 

それと Macの場合ですが、別途、専用のmidiドライバーをインストールしないといけません。ボクは最初、何も考えずOrb Composerを起動したら、

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のような画面が現れて、起動すら出来ませんでした😅

ソフトウェアをインストールしてすぐ使えるソフトウェアではなくて、初期設定がいろいろ必要なソフトウェアです。

 

慣れると面白い

初期設定が完了して使いはじめると、後の操作は比較的簡単です。このソフトウェア独自の癖を把握すると、ほぼ直感的に操作が出来てしまいます。

ただ昨今、何も考えずに自動でやってくれるソフトウェアが多くなってきたものですから、このソフトウェアにもそういった部分を期待していた人は肩すかしを食らうかもしれません。利用者がある程度、コマンドを出さないといけません。当然のことながら、それなりに基礎的な音楽理論を知っていないと、ソフトウェアを起動した状態で途方に暮れるだけかもしれません。

とりあえず最初の設定が済んだ後、何も考えずにコードをパラパラと並べただけで、下記のような曲を作ってくれました。無茶なコード進行でも健気にメロディを考えてくれます😜

作曲支援ツールなので、やはり作った人の個性は出ると思います。

 

早急に改善必要な部分

現在、メーカーサイトでもバグの報告がされています。

その中でもブロックに1/4拍子が入力できないのは、ちょっと問題です。これは後述しますが、コードを1拍ごとに変更する場合、この1/4拍子の指定が必要となります。なので、いまのところ4拍子のコードチェンジの最小単位は2拍おきにしかできません。3/8の入力も出来ないので6/8拍子の曲はコードチェンジが小節内で出来ないことになります。

またコードの転回型がないために特定コードのベースラインの指定が出来ません。ルート(根音)基準でコードを作っていく事も可能なのですが、和声上の動きが不自然になります。

 

これらの問題点すでにメーカーサイトにて記載されているので、今後のアップグレードで改善されると思います。

将来的には転回型だけではなく、ノンコードトーンのベースラインの指定も出来るようになってほしいものです。これを各パートごとに上物かベースかを設定できるようになれば完璧です。

 

使用感、Tips

このソフトウェアはリリースしたばかりですので、ユーザーマニュアルも簡単な説明のみです。最初はちょっと戸惑いますが、いろいろ触っているうちにだいたいわかってきます。ここからは、Orb Composerを使いながら気がついた点を書いていきたいと思います。

適当に触って書いていることなので、正当な使い方からは違う解釈をしているかもしれませんが😅 

人工知能とピアノとの共演

まずはオーケストラパートをOrb Composerで生成して、実際のPianoと演奏したものを聴いてください。

 

 

次に各設定で気がついたことを書いていきます。

 

演奏スタイル

ソフトウェアを起動したときに、演奏スタイルを聞いてきます。一番最初に目的の演奏スタイルを決めます。シンプルなアレンジかオーケストラのアレンジかをあらかじめ決めてから始めます。オーケストラを作るときにはここで最初から選びます。後述する全体の表情付けがオーケストラパートは3種類あるのですが、他は2種類しかありません。逆にシンプルなものを作るときは、最初からパートがたくさんあると煩雑になって編集しにくいです。

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楽曲構成の選択

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まず一番最初にする作業は、Block Itemsを並べることです。イントロ、テーマ、移行部、エンディング、の項目から選択。さらにテーマにはいくつかの表情付けがついたものを選ぶことが出来ます。ただこの部分は後で調整できるので、通常はノーマル状態のTheme(テーマ)を選びます。

このブロックはコードチェンジのタイミングやスケールを設定する際にも使います。

 

小節の設定

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次に小節の設定を行います。一番上のNumber of Barsの数字は何小節作るかの数です。

S、Aqなどの文字が並んでいますが、

  • S:基本フレーズ
  • Q:問いかけフレーズ
  • Aq:問いかけに対する応え
  • A:応答
  • A’;別の応答

小節間で音楽的なCall and Response(問いと応え)を設定します。この設定はコードやフレーズに影響します。

 

コードチェンジを決める間隔

ブロック内の拍子はコードチェンジを決める間隔につかいます。初期設定では4/4をです。このままだとコードチェンジは1小節の間4拍まるまる一定のコードとなります。

1小節間の中で2拍ずつコードチェンジをしたい場合は2/4を選びます。

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次にNumber of Barsの中の数字を2としてブロックに挿入することで、中に2/4が2つある「2/4+2/4=4/4」のブロックが作れます。

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これで2拍ずつコードチェンジが出来ます。現在バグで1/4が選べませんが、1小節で1拍ずつコードチェンジしたい場合は1/4を選んでnumber of Barsを4とすれば1小節で1拍ごとにコードチェンジが出来きるようになります。

 

 

コード進行

Orb Composerには、ほとんどのコード進行がのパターンがプリセットで用意されていますが、プリセットにないものはユーザープリセットを作って保存することになります。モーダルな曲で4小節の間、コードを変更しないというパターンがなかったので作ってみました。

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Chords ProgressionsからCreate Newを選んでタブを開きます。あとはコードを選択して並べていくだけです。名前を決めてジャンルを選択します。ジャンルの部分はよく使うパターンの場合、「All」のままでイイと思います。その後は選んだキーに自動的に転調してくれるので、パターンさえ作ればOKです。 

スケールとコードの連携

現在、コードの転回型は使えないのでルート(根音)基準でコードを選択していくことになります。しかしこれは、今後のアップグレードで改善されるようなので、今後はベースラインの変化する転回型コードなどは簡単に設定できるようになると思います。

しかし、Em7/A7みたいなA7の上にEm7が乗っかっているコードはどうすればいいのでしょう。 現在、プリセット以外のコードをユーザー設定で作ることが出来ません。

これはコードの部分でA7を指定して、ブロック内のスケールの部分でEdorianを指定することでそれっぽいサウンドになります。ボクはコードの部分を「A9add4」を選択(Proヴァージョンのみ)して、思っているサウンドにより近づけました。

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現在、選択できるスケールはベーシックなものしかなくて、これだけで複雑な和声を作っていくのは難しいと思います。今後のアップグレードに期待したいと思っています。メロディックマイナーひとつだけでも追加してくれれば代理コードを作ることができる(G7にAbメロディックマイナーで、G7オルタードになります。Orb Composerはクラシック音楽系のアレンジが得意なのでリディアンフラットよりもメロディックマイナーの方が理にかなっていると思います)ので、お願いしたいところです。

また、プリセット以外の新しいコードの作成もユーザーが出来るようにしてほしいものです。

 

全体の表情付け

全体の表情付けが簡単にできます。1小節単位で調整できます。曲の流れを作る上でとても重要な部分です。棒グラフの長さを調整して小節単位で表情をつけていきます。

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  • * Intesity:全体の強弱を個々で調整します。
  • * Momentum:ここでは音が動的か静的であるかを調整します。
  • * Space:同時に演奏される楽器の量を調整します(オーケストラのみ)。
ここを調整することで、かなり音楽的になります。
 

楽器での設定

より突っ込んだ設定として個々の楽器の表現も変更できます。楽器ブロックをクリックすることで設定できるタブが開きます。

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大まかにいうと、

  • メロディか伴奏を選べる
  • 音の強弱を選択
  • 楽器の奏法を選択

より細かな設定をすることが可能ですが、今回のファイルでは特に変更することなく、設定値のまま使用しました。これら楽器の設定はここで突き詰めるよりも、後でDAWで編集するときにしたほうがやりやすいかもしれません。ボクは、ほしいイメージとかなり違う場合などに使用しています。

 

アレンジをシャッフル

最終的に、設定したものを左上の鍵盤マークをクリックすることで、楽器の編成やアレンジをいろいろ提案してくれます。これ以外のところをクリックすると、せっかく作ったコード進行を全部変更してしまうことがある😩ので、注意が必要です。

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何度か試してみて、一番しっくりくるものを選んでみました。最後にOrb Composerで作成したものにあわせて、ピアノをリアルタイム演奏してみました。最初のMovieはこうやって作成した、人工知能オーケストラとピアノが共演したオリジナル曲の一部です。

 

 

どうつきあっていくか 

さて、ここからはボク自身がこのソフトウェアと、今後どういう風につきあっていいくかということについて書いていきます。

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ゲーム感覚でアイデアを蓄積

和声とスケールの関係など、基本的な音楽理論は知ってたほうが楽しめるソフトウェアですが、適当にコードを埋めていっても健気にメロディを生成してくれます。そういった偶発性を利用してゲーム感覚で作曲のアイデアを蓄積していくのも面白いと思います。

ボクはこのソフトウェアをMacbook AirにいれてLogicと連携させながら遊んでいます。数小節単位で面白いものが出来ることあります。こういった作った断片をmidiで書き出して、Ableton Liveのセッションモードで並べて見るという使い方を考えています。

 

鞄に入れて持ち運んで空き時間にゲーム感覚で弄って、最終的に楽曲を完成させる前のフレーズの断片生成として使っています。

とにかくいろいろ試している最中です。

 

既存曲での再発見

細かなバグが修正されれば、カヴァー曲の複雑なコード進行でもアレンジを楽しんだり、自分自身の曲で使用しても再発見があると思います。先に試したオリジナル曲のオーケストレーションでもいろんな発見がありました。生演奏でOrb Composerで生成したオーケストラとの共演というのも面白いと思います。

聴く人が聴くと「Orb Composerで編集した」とわかる、癖のようなものもあるにはあるのですが、ここから自分なりに手を入れていくことで、楽曲制作の幅もでるように感じます。ただ、現時点では複雑なケーデンスを作ることは困難なので、既存の自作曲での完全な応用はもう少し先になりそうです。

Orb Composerを使用してみて、いろいろ再発見できました。今まで「作曲支援ツール」は敬遠していました。でもいろいろ面白い発見があったので、パソコンの中に放置している他の「作曲支援ツール」の数々も、もう一度見直してみようと思っています。

 

Orb Composer作曲の曲

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一番最初のテスト段階で、Orb Composerがメロディを生成してできあがった曲がありました。このメロディパートをmidiで書き出して、Finaleで楽譜を作成しました。これを人間の手でピアノパートを演奏、AIに弦楽パートを再生成させて共演したものを最後にお聴きください。

 

 

 

 

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