バッハを弾くということ

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 かなり長く続けている習慣があります。バッハのインベンション全曲を毎日弾くという習慣です。たぶんもう20年以上続けていると思います。インベンションを弾き始めた当初はピアノでした。今はアコーディオンで弾いています。アコーディオンで弾くようになったのは、ここ数年です。

 普通に弾いてだいたい20分前後。指の訓練以外にフレージングや作曲の基礎など、音楽的な要素がぎっしり詰まっています。20分前後の間に15種類の調でそれを体験するのです。そう、練習というよりもまさに体験です。

 ショパンのピアノ曲はピアノでしか弾けません。これはショパンのピアノ作品が、ピアノと対話するために作られているからだと思います。これに対してバッハの作品は体験です。音楽を体験するための作品なので楽器を選びません。もちろんその楽器の構造上の問題で演奏困難なものもありますが、ほとんどの場合、音楽が楽器を導いてくれます。バッハの音楽は、音楽の中の魂とつながるための仲介者なのです

 ボクがフリーベースを引く理由もここにあります。バッハを日常の音楽体験とする、それ以外にありません。 

 最初は鍵盤式で左手はクイント式のフリーベースでしたが、ボタン式のクロマティックに変更しました。その理由は、

★3声以上になったときに、ボタン式はインターバルが狭いので片手で離れた2声を同時に弾きやすい。★左手はクロマティックのほうが音域が広いために音域切り替えスイッチを使わずに済む、

 というこの2点です。

 

 クイント式はアルペジオなどの和声的なフレージングなどや、音域の離れた和音を同時に演奏することができるので、そういった曲を演奏するときにはとても便利です。しかし連続した音階が広範囲に続くと、音域切り替えなどにかなりのテクニックが必要となります。鍵盤演奏用に書かれた楽譜を演奏するときは、クロマティックのほうが容易に演奏できると思います。ただ、クイント式でないと演奏できない曲(インターバルの極端に離れた和声の曲など)も当然ありますし、現代楽曲に於いては、今後、そういった曲もたくさん書かれると思います。これからどちらにしたいか迷っている人は、演奏する用途に応じて選ぶのがイイと思います。

 

 それとよく訊かれることがあるのが、ジャズを演奏するときは、フリーベースかスタンダードベース(ストラデラベース)かという問題。もしクラシックの現代音楽に近い、Free Improvisation等を演奏したいのであればフリーベース、そうでなくて一般的な右手アドリブフレーズ、左手コンピング(伴奏)のような形態であれば、スタンダードベースだと思います。

 スタンダードベースでテンションを含んだヴォイシングは簡単に作れますし、何よりも左手のリズムの音の立ち方は、圧倒的にスタンダードベースの方が上です。このことはまた、別の機会に触れたいと思っています。スタンダードベースの左手に関しては、かなり奥が深いのでサラッと語るだけではすみません。

 一般的にはフリーベース演奏のほうが上級者のように思われていますが、スタンダードベースを使いこなすことは、音楽理論と楽器に精通していないといけません。リズムのセンスも必要になりますので、かなり奥は深いです。また楽器によってもその和音構成がちがうので、響きも変わってきます。おのずと楽器にあわせたポジションを探ることになります。だから楽器に愛着を持って、その楽器と本気でつきあう気でないと、好いサウンドは得られません。まぁ、コレは事情を問わずどの楽器も同じですね...。

 

 スタンダードベースの話は、またいずれじっくりさせていただくとして、ボクの場合、多声音楽に惹かれますので、通常、どうしてもフリーベースがメインになります。一日の習慣もバッハを弾くことなので、その欲求を満たしてくれるフリーベースを使うことになります。フリーベースはスタンダードベースほど楽器特有のくせはありません。そこにある音が押さえたとおりになるだけです(笑)。

 ボクがこの楽器を演奏していて良かったなと思えることは、今でも少しずつですが成長できていることが確認できることです。一月前には困難だったことが、ちょっとやりやすくなっていたり、それが1年前だと到底無理であった事であったり。それが他の楽器よりもよりもとてもわかりやすいのです。

 そうやって日々過ごすことで、自分が今ここに存在していることに安心できるのです。毎日、同じバッハの曲を弾いていても、その表現が少し深いところまでいけたりしたときに、楽器が優しく微笑みかけてくれているように感じるからです

 

 



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バッハを弾くということ」への2件のフィードバック

  • 素晴らしい練習方法!好きな曲を演奏しながら訓練になるなんてすごいです!
    日々の積み重ねが大事だと、改めて反省しました。
    ありがとうございました。

    • ありがとうございます。

      大切なのは、
      楽しめて伸ばせるスキルに集中するということだと、
      最近ものすごく感じます。

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